三尾やよい

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「ハイブランド」の生まれ方

私は、ハイブランドとは縁のない人生を送ってきた。

もし私が金持ちだったら、ブランド物を買い漁っていたと思う。 けれどあいにくそうじゃないから、 私は自らハイブランドに関する情報をシャットダウンして、 欲しくならないように、嫉妬しないように生きてきた。せいぜい、 「しまむらのジミーチュウ風財布」とか、「 ルブタン風の赤底のヒール」とか「フランク三浦」 とかいった模造品からハイブランドを知るくらいだった。


ひょんなことからファッション業界にがっつり関わることになった 私は、ハイブランドの勉強をし始めた。勉強といっても、 ハイブランドを掲載している雑誌の索引に掲載されているお店を表 に起こして、すべてをググる、という作業だ。

 


そうやって調べる前の、「ハイブランドに対するイメージ」は、 こうだった。


ハイブランドは、なんかリッチな会社とかが、「 これを流行らせよう!」って作為を持って、 はじめから高額で売りつけて、バンバン広告を出しまくって、 流行りものが好きなバカなひとたちがそれを買うんだろう』


そんな疑いを持ちながら調べていくうちに、 世界の多くの超有名ブランドはわずか数社に集約されていることを 知り、その世界の狭さに驚いた。


売上高を元にランキング化した、デロイトトーマツ発行「 世界のラグジュアリー企業ランキング2018」を見て欲しい。


1位:LVMH
保有ブランド:ルイ・ヴィトン、フェンディ、ブルガリエミリオ・プッチロエベマーク・ジェイコブス、タグ・ ホイヤー など


2位:エスティ・ローダー
保有ブランド:エスティ・ローダー、M.A.C.、クリニーク など


3位:リシュモン
保有ブランド:カルティエ、ヴァン・クリーフ&アーペル、 モンブランヴァシュロン・コンスタンタン、クロエ など


4位:ルックスオティカ
保有ブランド:レイバン、オリバー・ピープルズ など


5位:ケリング
保有ブランド:グッチ、ボッテガ・ヴェネタ、サン・ローラン、 バレンシアガ、セルジオ・ロッシ など

 


どや、 世界的なブランドの多くはたった数社に集約されているだろう。
ファッション業界ピヨピヨな私はこれを見て、 まるで世界の秘密を知ってしまったかのような、 フリーメイソンに入ったような(?)気持ちになった。


『もしかして世界のファッションは、 ほんの一握りの企業が流行を牛耳っている…? ジュン株式会社が私の好きなロペピクニックとかVISとかぜんぶ の親玉だったように、 ひとつの会社がバンバンと自社ブランドを成功させている…?!』


だが、もっと調べていくうちに、日本のブランドの成り方と、 海外ブランドの成り方の違いが見えてきた。
日本のお馴染みのブランドは、 以下のようにひとつの会社が社内で複数のブランドを立ち上げてい る。


ジュン株式会社:アダム・エ・ロペ、ロペピクニック、ViS、 メゾン・ド・リーファーなど


また、アパレルとは一味違うが、化粧品メーカーにも、 自社多数ブランド展開が顕著に見られるので挙げてみる。


資生堂:Ag+、アネッサ、クレ・ド・ポー ボーテ、HAKU、マシェリ、マジョリカ マジョルカ、マキアージュなど


しかし海外ファッションブランドは、 ひとつの会社の中でブランドが生まれて… という仕組みはあまり見受けられない。買収、合併、バイシュー、 ガッペー…の連続だ。海外ファッションは、 創業デザイナーありきでやりとりされている。 ひと握りの会社がハイブランドをたくさん傘下にしているのは、 一人で立ち上げたブランドが売れていくうちに目をつけられて、「 あなたのブランドを買い取らせてくれないか」 って交渉が成立した結果、傘下に入っているっぽい。


ちょうど、ある個人がアプリを開発したらバズって、 サイバーエージェントが「その事業を買わせてくれ」 っていうかんじ。

 


18世紀とかに創業している歴史あるハイブランドは、 生まれたときからハイブランドなのではなく、 はじめはひとつの街角の靴屋さんからはじまり、 だんだんと大きくなっていくような成り上りストーリーを歩んでい る。ちょうど、 AmazonだったかAppleだったか忘れたけど、 今や世界的なIT企業が、ひとつの倉庫から事業が始まっていた… みたいなサクセスストーリー、有名だよね。どこだっけ。


いいものをつくっているうちに、 次第に上質な素材と優秀なデザイナーが買えるようになり、 それに伴ってブランドがハイブランドになっていく、 というかんじだ。


しかし、1990年代創業とか、比較的若いハイブランドは、 生まれたときからハイブランドなことが多い。これは、 なにも過去の私が想像していたように、「 わるいおとながハイブランドをいきなりでっちあげて高く売りつけ ている」のではなく、「 元ハイブランド出身の人が新規事業を立ち上げた」場合が多い。 ブルックス・ブラザーズでセールスマンをしていたラルフ・ ローレンはブランド「ラルフ・ローレン」を、 ラルフローレンでコピーライターをしていたトリー・ バーチはブランド「トリーバーチ」を…と、 大抵のハイブランドは、ハイブランド同士でつながっている。


私の頭の中でモヤのかかっていたハイブランド像が、 少し見えてきた。